" 一人暮らしを始めてからの、私の引越しの回数は、計3回である。
1回目は、絵を描いて食べていくという夢を持って、実家から離れた地域の美術の短大へ入学することになった時、2回目は、その短大を卒業し、自分の作る才能を信じ、最大限に生かしていきたいと夢見て、デザイン会社に入社することになったとき、3回目は、職場の人間関係という現実の壁にぶちあたり、何かを変えたいという漠然とした思いで、違う土地に引っ越した時。
あれから、だいぶ遠くの土地にまで来たが、それでも苦労して引越しの度、運び、持ち続けたものがある。短大時代に描きためた無数のキャンバスとスケッチブックだ。
なかには、畳1畳分くらいのキャンバスが、5点ほどあり、引越しの度に、引越し業者の担当者に、これさえなければ、もっと安くできるんですけど…と説得されても尚、一人暮らしにしては、高い料金を払い、そのキャンバスを置くスペースの為、広い部屋に引っ越し続けてきた。
今では、ほこりをかぶったままのキャンバス達。
3回目の引越しの時、ほとんど手を付けていないそれらをさすがに捨てようとも思った。だけど、捨てれなかったのは、それを捨ててしまう事で、あの時夢見てキラキラしていた自分と決別しなければならないような気がしたからだ。
引越しのときそれらを運びながら、まるで捨てられない夢を抱えているかのような、錯覚に陥る。捨てようか、いや捨てられない、それを繰り返し心の中で葛藤しながら運ぶ、そのキャンバスは、引越しの度、もっとも運ぶのに苦労を要しているものである。
私は、もうすぐ4回目の引越しを迎えようとしている。さて、こいつらをどうしていくか、そろそろきちんと向き合わなければな。"
引越しをするなら引越し業者に頼むのが簡単ですよね。
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